◇睡眠時無呼吸症候群

先輩によく飲みに連れて行ってもらった。
よくとゆうよりほとんど毎日だった。

この先輩、百キロは超える巨体。
飲み方も半端じゃない。
それも一軒に非ず。二軒、三軒とはしご酒、そしてよく食べる。
こんな生活をすれば体のどこかに異常をきたすのも頷ける。

その異常はとゆうのはいつものようにお酒を飲み、終電が終わった日の事でした。

学芸大に住んでいた先輩から「おいしいコーヒーを入れるから泊まっていけ」と言われ泊まる事にした。

コーヒーをご馳走になり寝る事にした。

そして布団に入り明日の事を考えていると（僅か１、２分の事）いきなりスゴイ「いびき」が部屋中に響き渡る。
このスゴサ普通じゃない。
鼓膜が痛くなる程スゴイのだ！

私は思わず頭から布団をかぶっていると...やけに静かになったではないか。地震がおさまったような静けさが...？？？？
そっと先輩の顔を覗き込むと息が止まっている！？
一体どうしたとゆうのか...、するとまもなく息を吹き返したようにスゴイ「いびき」がまたまた始まった。

結局この日は眠れず耳鳴りが...。

先輩一言「顔色余り良くないね！」「昨日飲み過ぎたかな」だって！
本人は何事もなかったかの様にいたって朝の顔。

仕事でよく先輩と同伴をした。
その日は大宮方面に車で向かっていた。

先輩が運転をし私が助手席、信号待ちでの事だ。
私は外を見ていると突然クラクションの音が、ふっと先輩を見ると完全に睡眠状態！この騒音の中またもや「いびき」これにはまいった。

危ない危ない！完璧に病気だ。

そして極めつけが会社側のホテルでの事。

いつものように飲み、やはり終電もなく明日は早いとゆうのでビジネスホテルで泊まる事にした。

運悪くひと部屋しか空きがなくやむを得ず同じ部屋に泊まる事になる。
ビジネスホテルの作りは狭い。
先輩はベッドで寝る事に。
私はできるだけ隅っこで布団をかぶってに寝る事に。

地獄は始まった。

「ぐわぁ～」「うんぐわぁ～」「うっっっ...」３０秒程停止！
「う・う・う・うんぐぁ～」「うんぐわぁ」.....。

これの繰り返しである。
我慢できずティッシュを耳栓代わりにするがそんな小細工はきかない。

この間よりもパワーが増している。
さかりのついた「トドか怪獣」のように響き渡る。

思わず風呂場に駆け込む。
ドア一枚がこんなに防音効果があるとは、やっと難を逃れた気持ちになった。当然その日は風呂場で寝る事に。


睡眠時無呼吸症候群になると色んな病気を招くようです。
体内の酸素不足が循環器、呼吸器系に影響を与え、高血圧、不整脈、心不全の原因になるといわれています。

「食べ過ぎ」「飲みすぎ」「太りすぎ」には充分注意し、悪い生活習慣を改めましょう。

◇地獄絵図

悩みが深ければ深いほど人には中々話せない事がある。ま、それが一般的な心理！

しかし、世の中にはその逆の人もいるんです。

仕事帰りの或る電車での出来事です。

私と上司は吊り革につながり、仕事の話しをしていました。
目の前にはお婆ちゃんが腰をまるめ座っています。
お婆ちゃんは眠たそうに目を閉じたり開けたり、ここにはいつもと変わらない平和な車内風景があります。

そんな平和な車内に或る出来事が、いや、事件が起きたんです。
その事件とは！？

私の上司には一つの悩みがあります。

横浜に家を建て家族にも恵まれ、なに不自由もない平凡なサラリーマンですが、ただ「若ハゲ」だけはどうすることもできません。

止むを得ず自社製品「部分カツラ」を使用、もう十年以上にもなります。
人には色々な悩みがありますが、カツラを着けると着けた人にしか判らない悩みが出てきます。

「人にバレやしないか」「蒸れる」「暑い」「カユイ」etc..。

長くなりましたが、実はこの「カユイ」が事件の発端なんです。

上司は胸にさしてあったボールペンを取出し、おもむろに頭を掻きだしたのです。

なんと頭とカツラの間から奥深く何度も何度も。

その様子を想像してみて下さい。
掻くたびにプカプカとカツラが浮くんです。
それを視てたお婆ちゃん、背筋がピンと伸び目が点に。

まだカユミが治まらない上司、今度は手を入れ掻き始めたのです。
ブカプカ、パカパカ、プカプカ、パカパカと...。
悲しいかなそれでもカユミは治まらず、とうとうカツラをパチッ、ポチッとはずしてしまいました。
そしてそのカツラを二つ折りし、まるめておしりのポケットにしまい込んでしまったのです。

その一部始終を見ていたお婆ちゃんは、驚きのあまり妙な声を発します！
「うぅ」とも、「うぉ」とも、「うゎぁ」とも、「うぎゃぁ」ともとれるお婆ちゃん語です。

プロの目からすれば「かつら」を着けているかいないかすぐに判ります。
でもこのお婆ちゃんには無理があります。
お婆ちゃんが見たものはこの世とは思えない「地獄絵図」だったに違いありません。（お婆ちゃんは心の中で「南無阿弥陀仏」と言ったかどうかは判りません）

私達はお婆ちゃんより先に下車。

その後お婆ちゃんはどうなったかは知る術もありません。

何事にも隠し事がなかった上司。
今は懐かしく思い出されます。

◇秘密

渋谷店は、道玄坂を上がった雑居ビルにある。
この業界はサラ金と同じで、店に入るのに人目を気にしなくてすむように、あえて雑居ビルに店舗をかまえている。

ある日の来社相談の事だ。
年令は三十代半ば、中肉中背、真面目そうなサラリーマン。
相談は新しく「かつら」を作りたいとの事。

他社製品「かつら」を使用しているのだが、お世辞にも自然とは言えない。髪は赤茶けてボロボロ、ベース（カツラの土台）が小さく目を覆いたくなる程傷んでいた。

最近あまり見かけなくなったが、電車の中とか街で誰が見ても明らかに「カツラ」とわかる人が大勢いた。
カツラ人口が減ったのか、製品が良くなったのか、今はあまり見かける事がなくなった。

■カツラが不自然な理由（部分かつらの場合）
（1）自毛の色とかつらの色合っていない。
（2）生え際のベースが見える。
（3）自毛とかつらのからみが悪い。
（4）自毛の毛量とかつらの毛量が合ってない。
etc...。

彼の場合は古くなっていたせいもあるが、上記理由の総てがあてはまっていた。カツラの寿命は、メーカーは４、５年といっているが、なんだかんだと一年に１枚は作るはめになる。金額は５,６十万円、一応サイズで金額が決まるが適当な個人判断でサイズを決める。金額はあってないようなもの、正直な話、カツラの寿命（自然な状態）は２年が限界か。

彼は信販会社の営業社員。
奥さんと子供の三人暮しで、結婚前から「かつら」を着け始め家でも「かつら」を外したことはないという。

未だ奥さんは着けていることすら知らないという。
お風呂の時も、布団に入る時も外した事がないという。

髪は本来、頭部を守る役割がある。
衝撃のクッションであったり頭皮の保温であったりする。

それであればわざわざ高い「かつら」を買う必要もないのだが...。
オシャレナな帽子の方が、ボロボロに傷んでいるカツラよりよほど良い。しかし彼にはそんな話は通用しない。

完璧に「かつら」とゆう麻薬にドップリとはまっている。
たとえ不自然であろうがなかろうが、彼にとってはなくてはならない必要不可欠な物なのだ。
一度カツラを着けてしまうと「正に麻薬」着けた期間が長ければ長いほど縁を切るのが難しい。

この呪縛から解放できるのは家族、特に奥さんしかいない。
彼をいつも気遣っている様子がよく判る。
ただこれからも彼の秘密を守り、知らないぬふりをするのはとても疲れる事だ。

これからもお互い、この秘密を守り通すのだろうか？
彼の一言一言に「悲哀」を感ぜずにはいられない。

せめて奥さんに打ち明け早く楽になれば！

背中をポンと押してあげたいと思うのは私だけだろうか？

◇山谷ブルース

あちこち転勤してきたが、上野時代が一番印象に残っている。
もう２０年程前の事だ！

当時は店（相談室）に来てもらうより自宅に伺う事が多かった。
理由は訪問相談の契約率が高いからだ。
何故ならお客様はわざわざ来てもらったという負い目と、「誰々に相談してから決める」などと言って簡単に断れないようにする為だ。

上司からよく「お客様が帰れと言うまで帰って来るな！」などと激を飛ばされ戦々恐々としてたものだ。
訪問販売全盛の頃で、消費者センターもあまり厳しくないそんな時代の事だ。

この営業スタイルはおそらく今も健在のはず。
営業マンを簡単に家に入れてはいけません！
口八丁でうまくまる込められないとも限りません、注意しましょう。

さて訪問先は山谷。
あの日雇労働者が集まっている所だ。
訪れた家は古い住宅を改造したような、何ともいえない家が多く並んだ一角だった。

ノックをすると作業着姿の老人が出て来た。
部屋は２畳程の広さで窓がなく、押入れには電気コンロと裸電球、畳は擦り切れ湿っぽく煎餅布団が敷いてあるだけだった。

私は一瞬どうしてよいか迷った。

老人は私の態度に気づいたらしく、手際よく部屋を片付け座る場所を確保してくれた。

そして後頭部にあるヤケドの痕（８×５）を見せ、長い間気になっていたと切々と語ってきた。

子供時代のヤケドで、今まで帽子や墨を塗ってごまかしてきたとの事だ。

この当時は、こうしたヤケドの相談者が多くいた。
今はあまり見られなくなった囲炉裏での事故でがほとんどだ。

子供が囲炉裏に落ちる時には足からでなく、おそらく頭からの転がるような感じ、想像をするだけでもゾットする。

しかしこの生活では何とかしたくても契約は無理と判断！
早く帰ろうと製品の説明も程々に逃げる体勢にとりかかる。
そして思わず出た言葉が「４０万程かかるからゆっくり考えて、都合ができたらまたご連絡下さい！」という冷たい一言だった。

すると老人はおもむろに擦り切れた畳を起こし、下に敷いてたあった袋の中からなんと、お金を数え始めたのです。
驚きのあまり開いた口が塞がりません。

冷たい一言を吐いた自分がとても恥ずかしく思えてなりません。

話を聞けば元「造船所」の幹部。
仕事で悩み退職し上京。
仕事を転々として田舎に残した家族とは一度も会っていない。
この部屋に住んで１０数年が経つという。

なんだか老人の背中が淋しい。
ふるえて泣いているように思えた。

思わぬ契約を済ませ老人宅を後にした。

山谷の町を歩いた。

冷たく埃っぽい風が吹いていた。

人には苦しい過去がある。
人には悲しい過去がある。
人には喜びの未来がある。

「山谷ブルース」岡林　信康

◇銀杏並木

ある都下の病院訪問の話しです。
団地がたくさん並び、並木に隠れあまり目立たない病院でした。

病院の受け付けで入院患者に面会したいむね伝える。

それにしても何か様子が変！？
この病院には看護婦さんがいません。
受け付けの人も、窓口から見える事務室内にも男性ばかりです。
何か温かみに欠ける殺伐とした病院です。

しばらくしてかなり悩んでいるという彼を抱えるように、二人の男性職員がエレベーターから降りてきました。
とりあえず挨拶を交わし待合室で相談する事になるのですが、この患者どこが悪いのか見当もつきません。それもこの患者パジャマ姿でなく私服の革ジャンを着ています。

彼は顔を合わせるなり一方的にしゃべり通し。
私の話などどうでもよさそうです。

内容は、自分は調理師で髪が抜けるetc…？？？
話が全く見えてきません。

筋道をたてて話をしようと何度も聞き返すも、らちがあきません。
何度も何度も同じ話しを繰り返すばかりです。
それでも４０分位話しただろうか、止むを得ず話を打ち切り帰ることに。

何かがおかしい。
何だろう？
何度も繰り返す仕草と同じ話し。
それに焦点が絞れないあの目。
そしてあの逞しい病院職員。

表に出て上を見上げる。
ショックでした。
病院は病院でも精神科病棟でした。
大きな銀杏の葉に隠れ気付かなかったのです。

とても「笑うに笑えない」そんな相談でした。

◇無毛症

大阪時代の事だ。
母親よりもうすぐ嫁に行く娘の相談だった。
訪問先は福井県の敦賀市。
日本海に面する港湾の町だ。
大阪より車で約３時間程かかる。
日本海独特のどんよりした空が、何か重く感じる町だ。

地方に来ると中々都会のように目的地にたどり着けない。
番地の表示がなかったり番地がとんでいたり、探すのに苦労する。
いつもなら詳しく場所を聞くのだが人通りも少ない。
この日は同じ所をぐるぐると回った。

どうりで見つからない筈だ。家は工場の敷地内にあったのだ。
かなり大きな屋敷、玄関の置物も立派！
どうもこの会社のオーナーらしい。

母親の案内で奥の大きな部屋に通された。
父親が居るものの娘の姿はない。
本人も一緒に話しを聞いてもらえるように話すが、母親は「ちょっと」と言って会わせようとしない。

仕方なくまづは両親を説得しようと商談に入る。
できるだけ興味をもって話しを聞いてもらえるように、たとえ話など入れながら説明をする。

薄毛部分の型取り、自毛とかつらの毛質など、製品が出来上がるまでの様々な工程を細かく説明する。

しかし話しは一方的で、理解出来ているのか確認するのだが両親の口は何故か重い。

やっと母親が質問してきた。

「お風呂とか温泉は大丈夫ですか？」
「取れてしまったりしませんか？」

とても素朴な質問だ。

私は自身たっぷりの表情で「大丈夫ですよ！」

「でも少しだけ気をつけて下さいね！」
「できれば交換の製品を何枚か持って下さい！」と、ここぞとばかりたたみかける。

あとは頭の型を取り見積もりを出すだけ。
内心良い感触を感じながら「娘さんの型取りをしたい」むね母親に言う。

母親＝「ここでですか？」
私＝「はい！」

母親＝「・・・・・・」
私＝「型を取らないと」

母親＝「娘が恥かしがって」
私＝「すぐに型取りは終わりますから」

母親＝「下だから型を取らなくても..」
私＝「下！？？？？？？...」　「無毛症じゃ・・・？」

母親＝「えぇ無毛症なんです。」「温泉とかお風呂とか本当に大丈夫ですか？」

私はただ愕然、今までなにを聞いてたの？
確かに毛の悩みには違いないが・・・。
「笑うに笑えない」「泣くに泣けない」ってこんな事を言うのだろうか？
「型を取るとか」「毛質を合わせるとか」「アフター万全とか」もう顔から火が出るほど恥かしい思いだった。

父親の無言は続く・・・。

母親は私の事を「いやらしい変な営業マン」と思いつつも、それこそ恥かしくて私に何も言えなかったのだろうか？
娘を思う親心、両親の心境は複雑だったに違いない....。

結局一度も本人の顔も見ることなく「under hair」の注文を取り長い長い帰途についた。

■under hair
人工皮膚に植毛した人毛にパーマをかけ適当な長さにカットした既製品。愛用者は年輩の女性が多い。
友人と温泉旅行のさいに使ったりするらしいが、水とカツラは相性が悪い。いつもトラブルと背中合わせである。
つけ方は肌に優しいボンド、両面テープを使用。
価格は３万程度。

■無毛症
先天的に体毛が欠如している状態を言う。

■陰部無毛症
今回の相談者のように思春期になっても陰部の産毛が硬毛化しない。
女性に多く原因はホルモン異常。

写真提供
「敦賀湾　夕景」
(社)福井県観光連盟

◇本郷の大学院生

一本の電話が鳴った。
後頭部の傷をなんとかしたいとの事。
早速本郷へ！

この辺りは古い飲食店、旅館が目立つ。
こうして歩いていると東大生の仲間になったみたいで中々いい感じだ。（単純な男！）

訪問宅は二階建ての木造アパート。
部屋にはベットにコタツ。いかにも女の子らしい色彩だ。

また大学院生らしく、難しい本がところ狭しと沢山並べてあった。

雑談少々、本題に取り掛かる。

とりあえず症状を見せてもらう事にした。

後頭部の傷だと言うので後ろに回り、櫛で髪を分けあちこち探す。
彼女は首から上った「ぼんの窪」の上あたりだと言うのだが中々見つからない。なんだか髪を触るのも怪しげなムードが漂う...。

あぁ～一体俺は何を考えているのだろう！？？？（本当に馬鹿野郎！）
この変な空気にのまれないように窓を開ける。

彼女自身も手探り。

よく見ると米粒程の脱毛部分がみつかる。
この部分かと尋ねると多分そうだと頷く。

おそらくにきびかできものの痕である。

でもどうしてこんな痕を見つけたのだろうか？
手鏡を使ってもおそらく見つからない。
私が顔を近づけ（ど近眼）やっと見える程度。
とても気にするような大きさではない。

この仕事をやっていると、時々ノイローゼとも思える人と出会う事がある。彼女もその一人か？

勉強のし過ぎじゃないの？
とりあえずコタツに入り話しを聞く。

小さい頃の傷でこれまでずっと気になっていたと言う。
なんでも深く考え過ぎる内向的な性格。
多分小さな傷が心の傷となり、彼女の中で大きく膨らんで誰かに見られるかもしれないという、心理的な葛藤があったのかもしれない。

彼女の長年の呪縛を解くには、この大きさがどんなものか自分の目で確認するしか方法は無い。

デジカメのような便利な道具の無い時代の事だ。
でも確認方法はいたって簡単！
傷痕に透明なナイロンをあてペンで傷痕をなぞるだけ。
コタツの上にそのナイロンを置き、彼女によく確認してもらう。

頭の側頭部、後頭部の髪は全部下に向いて生えている。
坊主にならない限り「風が吹こうが嵐が来ようが」誰にもわからない事をよく説明をする。（坊主になっても誰も傷跡だと気付きもしないだろう）
少し安心したのだろうか笑みがこぼれる。
やっと自分が想像していたよりはるかに傷痕が小さいことに気付いてくれたようだ！

今回のような例は沢山ある。
誰の目から見ても黒々とした太く多い髪なのに薄いと訴えてくる。
地肌が見える事自体が薄いと思い込んでいる。
一本でも髪が抜けようものなら大変なことになる。
まさに脱毛ノイローゼである。

これも病気の一種、心の病である。

当時はかつらしかない時代。
今のように、育毛だ！発毛だ！と騒がれるまでには、それから十年近くの年月を要した。
かつらはなんでも出来ると思わせた時代である。

髪の悩みは深い！

とゆうかこうなるとなんか変！！

◇ハゲの統制

何かと話題の多い北朝鮮、男性の髪の長さは５センチ迄と決まっているそうだ！
但し条件付きで「老人」は７センチ迄許されているとか。
さてその条件とは！？

なんと「ハゲ」ている事が条件らしい。

もしこれに違反をすると厳しく批判され、社会的制裁を受ける事になる。
職場に於いては上司、仲間から指導され、地域でも管理され、挙句の果てにテレビでも実名で放送されるそうだ。（脱北どころか、近所にも出かけられない）

国の実情が違うのは分るが、国家がそこまで統制し管理しなければならない理由は何なのか？

およその想像はつく。

しかし老人のハゲだけに許される僅かプラス２センチの優遇とは、一体どのような憐れみなのか？
頭のサイズにLL・L・M・Sがあるとすれば、SとLLでは大きな違い！

ハゲ隠しの２センチの同情なんかいらない！
同情するなら「めし」をくれぇぇ・・！
と、老人達の叫び声が聞こえてきそうな話しです。

独裁政治を維持する為に、マスコミの統制からハゲの統制まで、何でもやってしまう今の北朝鮮体制。

将軍様！あなたも２センチの恩恵にあやかっているのですか？

ちなみに私、北朝鮮どころか韓国にも行った事がない日本国民です。
情報は全て鵜呑みにせず、あなた自身の目で検証して下さい。

◇加賀の女

金沢時代の話しです。
私の生まれは能登。
高校生を金沢で過ごした私にとって金沢はとても思いで深く、そして懐かしい町です。

兼六元町のたばこ屋の二階に下宿していた私は、この季節になると朝一番に兼六園の雪を踏むのがとても新鮮で好きでした。

今は周りに柵が張られ有料となっていますが、当時は市民の庭だったんです。金沢の良いところは沢山ありますが、天神橋から見る浅野川上流は格別です。今はもう見られなくなった友禅流しは、私の目にしつかりと焼きついています。

一度機会があったら是非訪れてみて下さい。
きっと疲れた気持ちが癒される、そんな町です。
前置きはこの位にして、そんな金沢に赴任したのは、入社から五年程たった夏の頃でした。

女性の社会進出が叫ばれたこのあたりから女性の相談が年々増加。
この金沢も例外ではありませんでした。
当時の女性の薄げ相談は男性と違いほんの僅かでした。
相談にみえられる女性のほとんどは、病気による脱毛（円形脱毛症、抗癌剤や薬による脱毛、ヤケド、等）でした。

しかしこの頃からお客様の相談にに変化が表れました。
それは男性と同じく薄毛相談の増加です。
確かに女性でも男性型脱毛症に悩む人はいましたが、時代の流れなのか、宣伝の効果なのか、いずれにしても地下に潜伏していた潜在層が動き始めた頃でした。

訪問先は、車で四十分程行った、加賀市とゆうところです。
奥さん本人からの相談で、ご主人には内緒にしたいとの事でした。
道が入り組んだ古い城下町、やっとのことでたどり着き挨拶を済ませるも、何かビクついている様子です。
どうもご主人の事が気になるらしいのです。

二階に通され小声で会話、なんとも隠微な空気が漂っています。
これでは落ち着いて話すこともできず車の中で話す事に。
ご主人は余程嫉妬深いらしく、用心に用心を重ね段取りよく家を出、狭い町内誰かに見られないように車の中では縮こまりながら郊外の田圃の中へと車を移動したのです。

何か「夜逃げ」か「かけおち」をしているような変な気持ちです。

相談内容は薄毛が気になるとの事ですが、どこも薄くもなくむしろ多い位です。ただ私も営業で来た以上何か販売をしなければなりません。
とにかく型を取って、見積もりを出す事にしました。
（型を取るには、型の素材を温める為の電源が必要です。どのように対処したかの説明は長くなるので省きます。）

型取りは車内では狭すぎる為、外に出て頭の形をとる事に。
広い田園で奥様さんは中腰になり、私は型を上から押さえる様子は、どう見ても変です。それこそこんな所をご主人に見られでもしたら大変な事、ビクビクしながらの作業でした。

しかしそんな危険まで犯しそこまでしても欲しい髪とは、「一体何なんだろう」と考えてしまいます.。

近年、女性「かつら」の売上が男性「かつら」の売上を超えてしまいました。もっとも女性はパーマや毛染めなどで男性より髪を酷使しています。
そう考えると男性のように薄くなっても不思議ではないのですが、決定的な違いはホルモンの違いがあります。

元々男性より女性の方が「かつら」に対する抵抗は少なく、これまでもおしゃれ用として流行った時代があります。

女性の需要は（1）白髪隠し（2）ボリュームアップ（3）薬剤性脱毛症（4）オシャレ用（5）壮年性脱毛症
などで四十代の後半からホルモンのバランスが不安定になる更年期あたりから増えてきます。

こうした年齢層がいまのかつら業界を支えているといっても過言ではありません。いつまでも綺麗で若くありたいとゆう「永遠のテーマ」が続く限り、この市場は増え続けて行くのでしょうか？

日頃からの手入れを忘れず生活習慣に気をつけ、大切な髪を守りたいものです。ちなみに加賀市のこの奥さんは、ご主人に内緒で３８万の契約と相成りました。

「写真提供：金沢市」

◇抗癌剤

足立区に住む女性の相談が入った。
かなり髪が抜けてるらしい。
途中道に迷い自宅に電話を入れる。
家はすぐ近所らしい。
道に出て待ってるとの事。

彼女は手を上げここよ！と合図をする。
優しく微笑み、照れくさそうな顔がとても印象的だ！

家にはご主人がいた。

子供がいる気配がない。
二人暮らしなのだろうか？
ご主人は部屋の隅でうずくまるように座り、こちらに視線を向けている。
挨拶をし声を交わすが、とても疲れている様子だ！

奥の部屋に通される。
ご主人も一緒に話しを聞いてもらえるように勧めるが、「主人には絶対見せたくない」と言う。
普段はは既製品のかつらを使用している。（とても自然）
相談の内容は、より自然なかつらが欲しいらしい。
とりあえず頭の状態を見せてもらう。

確かに、かなり抜けている。
手で触るだけで髪が抜ける。
いや、髪が取れると言った方がリアルかもしれない。
彼女の顔が暗くなるのがわかる。
そして、ここで初めて癌である事を知る。
今は抗癌剤を投与していてその副作用による脱毛が始まっている。
少し顔がふっくらして見えるのもやはり副作用のせいなのだ！
投与が終わりしばらくたてば髪はまた生えてくるのだが...。

彼女にとっては我慢ならない話しだ！

それはそうかもしれない。
病気だけでもショックなのに髪が取れて行く恐怖は、そうなった本人でなければわからないだろう。
彼女は写真を取り出しこんな髪型にして欲しいと言う。
とても辛い相談だ！
とにかく「夢と希望」をもってもらえるよう、最善を尽くそうと思った。
製品（全頭かつら）の作製から納品まで約３０日はかかる。
金額も５５万とばかにならない。
契約を終え帰る間際に、彼女からもう一つ辛い話しを聞かされる。

それはご主人も癌で最近退院したばかりだと言うのだ。
なんとゆう巡り合わせなのか！
あまりにも酷すぎる。
神も仏もあったものじゃない。
なんだかとても重い荷物を背負い込んだような気がした。

一月後、製品が出来上がり彼女が来店した。
この間より顔色が悪い。
技術者（美容師）に細かく伝達をし製品の調整を依頼する。
３時間程度の時間がかかった。
満足してもらえただろうか？
彼女は言葉少なく帰っていった。

それから一月程経ったある日、彼女のお姉さんから電話が入る。
彼女が亡くなったとゆう知らせだった。