◇ｼｬﾝﾌﾟｰ剤の選び方

シャンプー剤はフケや痒みをとり、髪をしなやかにし、髪や頭皮を清潔にする化粧品です。
毎日使用する物だけに、自分の頭皮、頭髪に合ったシャンプー剤でなければいけません。

市販されているシャンプー剤を大別すると、三種類に分類されます。
特徴は以下の通りです。



石鹸系シャンプー

• 洗浄力が非常に強い


• 髪に吸着しやすく髪が硬くなる


• 石鹸カスが発生する


• 髪を傷めやすい

高級アルコール系シャンプー

• 洗浄力が強い


• 皮膚への刺激がある


• 泡立ちがいい


• 汚れの多い髪に適する

アミノ酸系シャンプー

• 洗浄力が弱い


• 低刺激


• 傷んだ髪や細く軟らかい髪に適している

たくさんの種類のシャンプー剤が出ていますが、以下の点にポイントを絞ります。

ポイント

• きめ細かい泡立ちの商品を選ぶ


• 強すぎず適度な洗浄力の商品を選ぶ


• 頭皮と同じ弱酸性（ph値5～6）の物を選ぶ


• すすぎが容易な商品を選ぶ


• 肌に刺激のない商品を選ぶ

以上のポイントに絞りましたが、結局は自分の好みになってしまいます。肌の弱い人、脂性の人、乾燥性の人、個人によって違います。
商品の特徴をよく理解して自分に合ったシャンプー剤を選びましょう。

◇瘢痕性脱毛症

ヤケドなどで毛乳頭が破壊されると二度と髪は生えてきません。

最近ではほとんど無くなりましたが、以前は「いろり」の事故で髪を失う人が多くいました。
想像するだけでも怖いことですが子供の事故がほとんどです。

ケロイドになった状態からは髪は二度と生える事はなく、心の傷も深く残ります。

◇トリコチロマニー

抜毛狂、抜毛癖などともいいます。
無意識のうちに自分で抜いてしまう神経的な脱毛症です。

娘の脱毛を見て母親が娘に「かつら」をｵｰﾀﾞｰしたものの、その「かつら」の髪を無意識のうちに抜いてしまった。
という話があります。

比較的子供や思春期の女性に多くみられ、心理的な問題を含んでいるようです。

◇牽引性脱毛症

髪を引き詰める事で毛根に負担がかかり起こる脱毛症です。
日本髪などを結ってたお年寄りなどによく見られた症状で「結髪性脱毛症」といったりもします。
脱毛部分はケロイドのようにツルンとしています。
最近ではポニーテールやアップなどでいつも引き詰めている人に見られる症状です。
あまり毛根に負担をかけないよう髪型を変えるか、強く引きつめない事が大切です。

◇分娩後脱毛症

産後脱毛症ともいいます。

女性ホルモンが増加する妊娠後期になると、ヘアサイクルの成長期が延長され、休止期（生えかわる準備）に移行しなくなります。
そのため抜け毛が一時的に止まっている状態になります。

ただ分娩が終わると元の正常なホルモン状態にもどる為、延長されていた成長期の髪がイッキに休止期毛となり脱毛が起こります。

ピルを服用しても同様の脱毛が起きることがあります。
これは生理的な脱毛で、ヘアサイクルが正常な状態に戻れば、半年程度で回復してきます。

◇抗癌剤

足立区に住む女性の相談が入った。
かなり髪が抜けてるらしい。
途中道に迷い自宅に電話を入れる。
家はすぐ近所らしい。
道に出て待ってるとの事。

彼女は手を上げここよ！と合図をする。
優しく微笑み、照れくさそうな顔がとても印象的だ！

家にはご主人がいた。

子供がいる気配がない。
二人暮らしなのだろうか？
ご主人は部屋の隅でうずくまるように座り、こちらに視線を向けている。
挨拶をし声を交わすが、とても疲れている様子だ！

奥の部屋に通される。
ご主人も一緒に話しを聞いてもらえるように勧めるが、「主人には絶対見せたくない」と言う。
普段はは既製品のかつらを使用している。（とても自然）
相談の内容は、より自然なかつらが欲しいらしい。
とりあえず頭の状態を見せてもらう。

確かに、かなり抜けている。
手で触るだけで髪が抜ける。
いや、髪が取れると言った方がリアルかもしれない。
彼女の顔が暗くなるのがわかる。
そして、ここで初めて癌である事を知る。
今は抗癌剤を投与していてその副作用による脱毛が始まっている。
少し顔がふっくらして見えるのもやはり副作用のせいなのだ！
投与が終わりしばらくたてば髪はまた生えてくるのだが...。

彼女にとっては我慢ならない話しだ！

それはそうかもしれない。
病気だけでもショックなのに髪が取れて行く恐怖は、そうなった本人でなければわからないだろう。
彼女は写真を取り出しこんな髪型にして欲しいと言う。
とても辛い相談だ！
とにかく「夢と希望」をもってもらえるよう、最善を尽くそうと思った。
製品（全頭かつら）の作製から納品まで約３０日はかかる。
金額も５５万とばかにならない。
契約を終え帰る間際に、彼女からもう一つ辛い話しを聞かされる。

それはご主人も癌で最近退院したばかりだと言うのだ。
なんとゆう巡り合わせなのか！
あまりにも酷すぎる。
神も仏もあったものじゃない。
なんだかとても重い荷物を背負い込んだような気がした。

一月後、製品が出来上がり彼女が来店した。
この間より顔色が悪い。
技術者（美容師）に細かく伝達をし製品の調整を依頼する。
３時間程度の時間がかかった。
満足してもらえただろうか？
彼女は言葉少なく帰っていった。

それから一月程経ったある日、彼女のお姉さんから電話が入る。
彼女が亡くなったとゆう知らせだった。

◇薬剤性脱毛症

薬剤の副作用などで起こる脱毛症です。

抗癌剤は細胞分裂抑制作用が働く為、毛母細胞の機能が低下して脱毛します。ビタミンAの長期に渡る過剰摂取、抗甲状腺剤なども脱毛症を発生させるとされ、びまん性脱毛（全体的）が起こるといわれています。

こうした副作用による脱毛のほとんどは、薬剤の中止によって元の状態に戻るようです。

髪あれこれ
非情な現実
「抗癌剤」

◇ダイエット脱毛症

若い女性に多い脱毛症です。
誤ったダイエットをすると極端な栄養不足を招き、毛根に栄養補給ができなくなってしまいます。

タンパク質の不足から皮膚が乾燥し、髪の色もあせ髪が痩せ細ります。
無理な食事制限をした為に栄養失調状態になっています。

私達の体はこうした無理なダイエットなどで危険にさらされると、生きていく上で最も重要な「脳」や「内臓」に優先的に栄養が運ばれます。
したがって皮膚や髪など直接「命」に関係のない組織は益々痩せ衰えてきます。

体の代謝を良くするためには、細胞の酵素を作らせる働きのある鉄、亜鉛、銅などのミネラルが多い海藻類、酵素の働きを助ける野菜、果物を摂る必要があります。
また髪の基本成分「ケラチン」のもととなる動植物のタンパク質をバランスよくとる事大切です。

◇切ない思い出

とても印象に残っている話をします。
やはり上野店時代の事です。
訪問先は確か、足立方面だったと思います。
母親より高三の娘の件です。
自宅は平屋で四人暮し。
自宅に入ると母親と本人、そして妹が待っててくれました。

相談内容は、円形脱毛症がひどく、かつらを作りたいとの事でした。
まず頭部の状態を見るもかなりひどく進行していて、櫛を通すとスーット抜けてくる状態です。
髪にも艶がなく明らかに悪性の円形脱毛症です。

母親の話では、クラス替えとか、何か環境に変化があると今回のような事が起こるという。
話を聞けばこの春就職、ショールームの受け付けの仕事に決まっているらしい。
やはり不安からくる、ストレスが原因なのか！？
タイプ的には、物静かで真面目そうな娘ださんだ。
彼女の望み通り、せめて仕事中は髪を気にしなくてすむようにしてあげたい。
母親からもなんとか自然な「かつら」を作ってあげたい、そんな気持ちがよく伝わってきた。。

やがて型（全頭）を取り、見積もりを出す。
どんな状況であろうと、この金額提示の時が、一番緊張する。
それは「かつら」を二枚、三枚と、複数販売する事が基本営業で、提示額もおのずと百万単位になってしまうからだ。
この日も例外ではない。
金額を聞いた母親の顔色が変わった。
それまで積極的だった態度が一変した。
後で判る事だがこの家の家計は母親が支えていて、父親は病弱でほとんど寝たきりだと判った。
母親は娘にしきりに「後で返事をしよう」「考えよう」と訴える。
なんとかしてあげたいとはいっても何もできない。
私は営業が向いていない！
安心はお金で買えても、押し売りはしたくない！などと色々頭の中を駆ける。
そうこうしていると娘が一言つぶやいた。

「お母さんお願いしよう！」
「お金は新聞配達でも何でもするから！」
私は思わず目頭が熱くなった。
「いじらしく」も、「逞しく」も、何とも言えない感動を貰ったような気がした。
母親も止むを得ず承諾。
そばにいた妹にも笑みが戻った。

帰り際、奥の部屋から父親が這うように出てきた。
話しを襖越しに聞いていたらしく「よろしくお願いします」と笑みを浮かべ頭を下げられる。
とても切ない思いがした。
色々な人生があるけれど、一生懸命生きている家族に限って不幸が押し寄せる。
腹立たしい思いをこらえ家を出た。

あれから二十年余り、とても懐かしく思い出されます。

■円形脱毛症

・突然頭髪が円形あるいは楕円形に脱毛する。
・脱毛部分の境界は鮮明。
・単発性の脱毛、多発性（悪性）の脱毛がある。
・脱毛部分が広がり全頭部、まゆ、まつげ、体全体に及ぶ事もある。
・単発性のものは、半年もすればまた生える。
・多発性は時間がかかる。

■原因
「自律神経の失調」「ストレス」「免疫不全」などと言われているが、本当のところハッキリと解明されていない。

◇円形脱毛症

突然脱毛が起こります。
形は円形ないし楕円形に脱毛し、脱毛の表面は滑らかでつるんとしています。
脱毛は単発性のものとあちこち抜ける多発性のものがあります。

多発性の場合、部分同士が融合し脱毛が全頭に及び、眉毛、まつげ、髭、腋毛、陰毛まで抜ける悪性の円形脱毛症も少なくありません。

単発性の脱毛は2～3ヶ月でほとんど治癒しますが、多発性となるとかなりの時間がかかります。
また悪性の特徴として一箇所が治っても別の箇所で発生したり、いたちごっこのようなやっかいな病気です。

「ストレス」が原因といわれてきましたが、最近では「自己免疫」説、「末梢神経異常」説などが有力視されています。

円形脱毛症の自己免疫説とは、自分の体内にある毛球を異物と誤認し、異物や細菌などを排除するリンパ球が毛髪を作る毛母細胞に集まり、毛包を攻撃し破壊する為に起こる脱毛だという説です。

また末梢神経異常説は、円形脱毛症の毛根の周囲にある末梢神経に異常があり、感覚がにぶくなっている事が解っています。

円形脱毛症の進行性の場合、周りの髪を指でつまむとスーット抜けてきます。痛みもなく感覚がありません。
長時間つめたい水仕事をしているとつねっても感覚がないのとよく似た状態です。
この様な状態が長く続くと当然栄養がいかなくなり脱毛を起こします。

治療は軽いものであればスチーマ、赤外線、育毛剤などがあります。
それ以外ではドライアイスによる冷凍療法、副腎質ホルモン（ステロイド）などの療法があります。

軽くみると後のｼｯﾍﾟ返しが恐い病気です。
いずれにしても皮膚科の専門医に診察してもらう事を勧めます。

髪あれこれ
円形脱毛症の少女
「切ない思い出」