◇細く短い髪

細く短い髪がよく抜けると相談を受ける事があります。
抜け毛にどの程度短い毛が混ざっているのか定かでなく、よく聞くと短い髪が数本混ざっているだけでした。

髪に無頓着なのもどうかと思いますが、抜け毛に対して過剰に反応している若い人が多いように思います。
過敏になり過ぎるのは精神的にもよくありませんね！

さて一般的に一日８０本程度の抜け毛は正常な範囲ですが、細く短い髪がこの抜け毛の半数を占めるようであれば、異常な脱毛と疑ってみて下さい。
男性型脱毛症の場合であれば抜け毛はもっと多く、短い髪も６割～７割とかなりの割合で短毛が混ざっています。

髪の一生を「ヘアサイクル」といいますが、男性で３～５年程度、女性で４～６年が平均的な寿命といわれています。ヘアサイクルは、「成長期」、成長を停止していく時期を「退行期」（２週間）、毛髪が成長を停止し脱落する時期を「休止期」（約３ヶ月で脱毛）と呼んでいます。

これは正常なヘアサイクルの場合ですが、男性型脱毛症を発症するとこのヘアサイクルの成長期間が短くなります。そして生え変わりを繰り返す毎に髪は短くなり、一年や半年程度で抜けてしまう髪が多くなってくるわけです。

したがって細く短い髪が抜け毛の中に多く混ざっているという事は、男性型脱毛がかなり以前から進行しているという事になります。当然ここに至るまでには頭皮や髪に何らかの変化があるはずです。

抜け毛に対して過敏すぎるのは精神的にも良くありませんが、異常な脱毛シグナルを見落とさないで下さい。

◇髪と毛細血管

私達の体はとんでもない数の細胞からできています。
その数「60兆」個ともいわれこの細胞に酸素と栄養を供給し老廃物を回収しているのが血液であり毛細血管です。

毛細血管は頭のてっぺんから足のつま先に至るまで網状に張り巡らされいます。

血管の太さは文字通り毛の様に細く（実際は毛の1/10程度）、この毛細血管をつなぎ合わせると10万キロにも及び、地球の約２周り半の長さに相当するそうです。

今まで簡単に考えていた頭皮の緊張や血管の収縮、どれほど髪に影響を与えるか想像がつきますね。

こんなに細い毛細血管、あまり負担をかけないようにタバコやストレスなど生活習慣の改善を図りたいものです。

• 日本人の髪の太さは平均８０ミクロン
  （１ミクロンは１０００分の１ミリ）０．０８ミリが平均的です。


• 毛細血管の太さは髪の約1/10でおよそ８ミクロン、
  ０．００８ミリという事になります。

◇髪の役割

保護器官としての役割

• 衝撃から頭部を守っています。体毛は退化してしまいましたが頭部の髪は頭部の保護器官として重要な役割をはたしています。髪が薄くなってくると帽子をハゲ隠しとして着ける人がいますが、頭部保護という観点からすると帽子は髪の役目をはたしているといえます。また年配の方で頭をぶつけ傷がたえない人もめずらしくありません。
  医療用としては（プロテクター）付きカツラというものがあります。カツラのベースで頭部の陥没などでなくした頭蓋骨の部分を保護するものです。ただしカツラ付きという事で保険の適用はありません。
  
  感覚アンテナとしての役割
  
• 頭皮には知覚神経が放射線状に付着しており弱い刺激にも敏感に反応します。肌に触れる前に髪はその感触をキャッチし信号を送ってくれます。
  
  排泄器としての役割
  
• 私達の体に入った毒素の排出器官としての役割をもっています。水溶性のの毒は汗や尿などでもで排出できますが、問題は貴金属などの水に溶けない有害物質です。体内に入ったヒ素などの一部は髪に吸収され排出されます。

◇髪の形状

髪の形状は毛根の形によって決まります。

日本人の大半は直毛で毛根の形はまっすぐです。

髪の断面を見るとほぼ円形の形をしていますが、クセ毛の場合は毛根が曲がっており、クセ毛が強いほど髪の断面は平たく楕円状になっています。

髪の形状は人によって様々ですが、形状を大きく分けると直毛、波状毛、縮毛に分ける事ができます。

波状毛はパーマをかけたような波打った形で、縮毛はもっと細かいちぢれ毛の事です。

こうした形状は髪が生えてから決まるのではなく毛根の形で決まってしまいます。

髪質は遺伝要因が大きいようですが思春期や加齢によってクセ毛に変化する事もあるそうです。

◇髪の太さ

髪の太さは人によって違いますが、同じ人でも太い髪と細い髪が混在しています。

日本人の髪の太さは平均８０ミクロン（１ミクロンは１０００分の１ミリ）０．０８ミリが平均的です。

髪の太さはマイクロメーター（写真）で簡単に計れます。

私達の毛はは加齢と共にみな細くなりコシがなくなります。
これは髪のキューティクルが薄くなるためです。

ごく自然な現象で、皮膚の老化と同じように髪も老化するのです。

男性のピークは１０代でそれ以降は細くなります。
女性のピークは３０代で更年期をむかえるあたりから細くなります。

また男性型脱毛症などで脱毛した髪の太さを調べると、０．０５ミリ程度の細い抜け毛が目立ち、髪の長さも一年程度の成長で抜ける１２センチ前後の髪が抜けています。

◇髪の臭い

これから本格的な夏に向けて汗をかきやすくなりますが、汗の臭いが気になります。特に髪はベトベトし不潔になりやすくなりますので注意して下さい。

頭の臭いには髪につく臭いと、頭皮につくにおいがあります。

まず髪につく臭いですが、臭いの敏感な方ならタバコの臭いはすぐにわかります。臭いは洋服だけでなく髪にもつきます。

最近はヘアケアのし過ぎでかえって髪の表面を傷めてしまう事が多いのですが、こうして傷んだ部分があると臭いの分子は付着しやすくなります。特に髪が長い女性は要注意！です。

私達の生活空間はチリやホコリといった臭いの物質でいっぱいです。
正しいヘアケアで清潔な髪を保ちましょう。

髪の臭の原因

• シャンプーのし過ぎ。
  
• ドライアーのかけ過ぎ。
  
• パーマ・カラーリング・ブリーチは髪を傷めます。
  
• クセ毛などの矯正はトラブルが絶えません。
  

頭につく臭いですが頭皮の皮脂が問題です。

皮脂を栄養分として細菌が繁殖、栄養分の分解する時臭いを発生します。

皮脂をコントロールするには生活習慣の改善が必要です。

特に動物性の脂肪を多く摂ると皮脂の分泌が多くなります。
和食を中心とした食生活に切り替えましょう。

◇毛の成長

よく髪を速く伸ばすにはどうしたら良いのかと聞かれます。毛の伸びる速度はその時の条件によって個人差があります。体調や年齢、季節によっても違います。

一般的に寒い時季より暖かい時季の方が速いとか、やはり運動量（活動量）が多い季節の方が育ちやすいのでしょうか。

年齢的には男性は２０歳前後、女性は３０歳前後がピークで成長が低下するそうです。

頭髪は一日０．４ミリ程度伸びます。
一ヶ月にすると約１センチ程伸びます。
私達の頭髪は平均１０万本程生えており、単純に一日の伸びる長さをつなぎ合わせると、なんと４０メートルにもなります。

たとえば指の爪の成長速度は一日０．１ミリ程度です。
２０本の爪を足しても２センチです。

恐るべし毛母細胞です。
いかに活発な活動をしているかが分ります。

この髪の成長を持続させ健康な髪を保つためには、「バランスの摂れた栄養」「質の良い睡眠」「適度な運動」この三点セットは欠かす事はできません。抜け毛予防のためにも生活習慣を是非見直してみて下さい。

◇自然な抜け毛

一日どのくらいの抜け毛であれば正常といえるのでしょうか。私達の頭髪本数は平均１０万本から１２万本程度といわれています。女性は男性より多く成長期間も長いようですが、およその見当を出してみたいと思います。

シャンプー時の抜け毛は、成長を終えた「休止期毛」といわれるいつ抜けても良い髪が抜けます。ただ体質や、栄養、ストレスなど環境の変化によって髪の成長が長くなったり、極端に短くなったりします。
当然髪の平均寿命が短くなれば抜け毛も多くなります。
髪の男女平均寿命は２年から６年程度です。

男女の平均をとって頭髪を１１万本、平均寿命を４年とすると、一日平均７５本という数字が出てきます。
【110.000本÷（365日×4年）＝75本】

抜け毛はシャンプー時だけでなく、ブラッシングでも抜けます。（この場合も無理に抜かない限り寿命を終えた髪です。）
７５本はあくまでも理論上の数字です。
日によっては１００本程度の抜け毛はあるかもしれませんが、平均すれば数字の差はなくなるはずです。

ということは個人差はあるとしても、７５本前後であれば正常な範囲内であるといえます。

また洗髪を1日置きにしていれば１５０本が平均となります。

抜け毛本数は自分でもチェックできますので心配な方は一度データーをとってみて下さい。
やり方はいたって簡単です。排水溝に流れていかないようにガーゼか、いらないストッキングなどでカバーして下さい。

◇ヘアサイクル

髪は一生伸び続けるわけではなく毛髪一本一本にも寿命があります。
但し抜けた後には新しい毛が必ず生えてきますが、この抜けたり生えたりする事をヘアサイクル（毛周期）といいます。

男性で約3年～5年、女性で約4年～6年が平均的なサイクルといわれています。

ヘアサイクルは細胞分裂を繰り返し成長する時期を「成長期」、成長を停止していく時期を「退行期」、毛髪が成長を停止し脱落する時期を「休止期」と呼んでいます。

普段シャンプーやブラッシングなどで自然に抜ける落ちる髪はこの休止期にあたる髪です。

自然に抜ける本数は、一日平均50本～80本程度です。

頭髪の成長期の毛は全体の約85％を占め、退行期は1％、休止期は14％程度の割合で成り立っています。

◇毛幹の構造

(1)毛小皮（キューティクル）外側部分
外側の毛小皮は、硬い鱗状のもので何枚も重なり合ってできています。主成分はタンパク質で、ブラッシングなど外部からの刺激から毛を守る働きをしています。

(2)毛皮質（コルテックス）中間部分
繊維状のタンパク質が主な成分です。一本の毛には10数万本の繊維が集まり、螺旋状にからまり合っています。この量が多いと毛は太く、少ないと細くなります。主にこの部分に含まれているメラニン顆粒によって、髪の色が決まります。

(3)毛髄質（メデュラ）中心部分
主成分はやわらかなタンパク質と脂質からできています。役割は保温とみる説が有力ですが、人によっては毛髄質の無い毛もありはっきりと分かっていません。